私にとって『パタリロ』と並ぶ2大ヒーロー、
『スペースコブラ』をモチーフにしたミュージカルに招待してもらったので観てきた。
いろんな意味で衝撃を受けた。ちなみに2人のヒーローの共通点は、人をおちょくるのが好きなこと。

石田剛太のスペース☆コブラ
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劇ではこのように、男なら誰しも憧れる「コブラ」が逆に見事に再現されている。
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内容は、現代版『ドン・キホーテ』のようなあらすじだ。
ドン・キホーテの主人公は、自分が騎士だと勘違いして旅にでるが、
この劇では、記憶を失った青年、石田が、自らをコブラだと勘違いしてしまう。

ちなみにこの設定は、元々の漫画『スペースコブラ』の第一話で、
コブラが自らの記憶を取り戻すシーンを思い出させる。
この点でも、原作へのレスペクトを感じる。偶然かもしれないが。

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コブラの相棒、アーマロイドの「レディ」のセクシーさも逆に見事に再現されている。
また、ファンの長年の疑問だった「あのサイコガンの大きさじゃ、腕に収まりきらないんじゃないか?」
という問題も、見事に解決されている。

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やっぱり収まりきらないのだ。
そして、「アーマロイド」のレディと「人間」であるコブラという、結ばれようがない愛も、
劇では人間のレディと義手のコブラ、という構図のラブシーンで、原作と逆転して描き出しているのは見事だ。
偶然かもしれないが。

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コブラのダンディさに加え、脇もイケメンとマッチョ達でしっかり固めている。

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もちろん、コブラといえば美女がセットだ。
原作ではストーリーの核となる美人三姉妹も逆に見事に再現されている。

この劇の見所の一つは、途中で、石田が正気に戻り、自分がコブラじゃないことに気づくシーンだ。
原作のコブラのセリフ「サイコガンは心で撃つもんなんだぜ」という言葉どおり、
正気に戻った石田はサイコガンを撃てなくなってしまう。

これは『ドン・キホーテ』の最後で、主人公が正気を取り戻すシーンを彷彿させる。
そして、ドン・キホーテをモチーフにしたミュージカル『ラ・マンチャの男』のセリフを思い出せる展開が広がる。

一体狂気とは何だ?
現実のみを追って夢をもたぬのも狂気かもしれぬ。
夢におぼれて現実を見ないのも狂気かもしれぬ。
なかでも最も憎むべき狂気は、
ありのままの人生に折り合いをつけて、
あるべき姿のために戦わぬことだ。

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一度は事故による記憶喪失でコブラになった石田は、
正気に戻ったあと、自らの選択で、狂気に走っていく。
その姿は、原作コブラのセリフ
人間なんて不思議なもんだな、
いざ普通の生活を始めてみると、
またどうしようもなくスリリングな世界に戻ってみたくなる

または、三島由紀夫の自決に対して、作家の澁澤龍彦氏のコメント、

日本国民すべてが気違いでなさすぎるので、
三島氏は、せめて自分ひとりで見事に気違いを演じてやろう、
と決意したのに違いない。そして氏はいつしか完璧な「気違い」になったのだ。


というものを思い出させる。
とにかく、必要以上に狂気で熱気な演劇だった。
福岡公演はこれからなそうなので、コブラが好きな人は公式サイトをチェックしてみて。