リクエストがあり、水嶋ヒロ氏の「KAGEROU」を4コマにしてみた。
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※転載自由。

要約すると、自分の命を陽炎のようにはかなく感じていた主人公が、自分の人工心臓を自分がレバーを回して動かす究極の段階になってはじめて命の大切さに気づく、という話です。つか気づくの遅すぎるだろう。

この小説が革命的なのは、その設定の発想力と、それを本気で書くという素直さだ。こんなリアリティのない設定は、普通ならバカだと思われると思って書かないだろう。この小説を映像化するにしても、通常なら人工心臓のレバーを回しているシーンで爆笑が起こるのが怖くてできないだろう。

しかしこの小説の意義は、このかつてないリアリティのない話が、公募した1285の作品の中から選ばれ、選者もそれが水嶋ヒロ氏だったと後から気づいたと言い張る奇跡だ。石原慎太郎氏のチンコで障子を突き破る小説「太陽の季節」が芥川賞をとって以来の快挙だと思う。

つまり、リアリティのない話が、水嶋ヒロ氏という究極のリア充キャラと、今回の大賞と、100万部以上売れる見込み、という事実によってリアリティを無理やり補完され、「もしかして、こういうのもありなの?」と思わせている。

この小説がありなら、もう何を書いてもOKだろう。自分の人工脳をレバーで動かす話でもいいし、心臓を球代わりに野球をする話でもなんでもいい。小説のイメージをぶちこわしてくれたという意味で、この作品、私は好きです。

KAGEROUKAGEROU
著者:齋藤 智裕
ポプラ社(2010-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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